入院前日、私はUSJにいた

黒いトイプードルと遊園地の背景 膀胱がんの体験記

入院と手術が決まったとき、私は先生にお願いをしました。

「USJに行ってから、入院させてください」

もしかしたら、この先もう二度と行けなくなるかもしれない。

そう思ったら、どうしても行っておきたかったのです。

先生はそのお願いを聞いてくれました。

だから私は、入院前日にUSJへ行きました。


ずっと羨ましかったUSJ

職場の後輩がUSJに行った話を聞くたびに、私はいつも羨ましいと思っていました。

この年になると、友達にはそれぞれ家族がいて、気軽に一緒に旅行できる友人はなかなかいません。

そんなとき、たまたまUSJに行く集まりがあることを知りました。

一人参加でしたが、当日一緒に回ってくれる人たちも見つかり、少しずつ予定を立てていました。

本当に楽しみにしていた矢先、がんが発覚したのです。

正直、それどころではなくなってしまいました。

それでも、一緒に回る予定だった方たちが協力してくれて、なんとか当日を迎えることができました。

本当に感謝しかありません。


ノアンを預けに行った日

USJの翌日には入院し、その次の日には手術を受けることが決まっていました。

そのため、USJへ行く前に、私はノアンを姉のところに預けに行きました。

車の中で、ノアンは何かを察したのか、道中ずっと嫌がっていました。

いつもと違う空気を感じ取っていたのかもしれません。

私は何も言えませんでした。

ごめんね、ノアン。

そう思いながら、姉の家に預けました。


20年ぶりのUSJ

USJ当日。

最後に行ったのは、たしか20代の頃。

会社の社員旅行だったと思います。

あれから約20年ぶりのUSJは、本当に楽しかったです。

みんなでミニオンと撮った写真は、今でも私のお守りです。

ハリーポッターのエリアは幻想的で、まるで異国にいるような気分になりました。

病気のことを忘れられる時間も、確かにありました。

笑って、歩いて、写真を撮って。

「来てよかった」

心からそう思いました。


ひとりになった瞬間

ただ、途中で私だけドンキーコングのアトラクションチケットを持っていたので、みんなと別れて一人で乗ることになりました。

さっきまであんなに楽しかったのに、一人になった瞬間、急に寂しさがこみ上げてきました。

アトラクションが終わり、ホテルへ帰る道すがら、頭の中はいつの間にか病気のことでいっぱいになっていました。

明日、入院なんだ。

明後日、手術なんだ。

本当に大丈夫なんだろうか。

そんな不安が、楽しかった気持ちの隙間から少しずつ入り込んできました。

気分がどんどん落ち込んでいくのが、自分でもわかりました。


それでも、行ってよかった。

あの日、USJに行ったことを後悔していません。

むしろ、行っておいてよかったと思っています。

楽しかった記憶も。

一人になって寂しくなった瞬間も。

ホテルへ帰る道で、どうしようもなく不安になったことも。

全部、あの日の私に必要な時間だったのだと思います。

もし行かずに入院していたら、きっと私はずっと後悔していたかもしれません。

「あのとき、行っておけばよかった」と。

だから、行ってよかった。

がんが見つかっても、入院前日でも、私はちゃんと自分の願いを叶えに行けた。

そして翌日、私は入院しました。

その次の日、手術を受けました。

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